自己破産、少額管財制度が債務者にもたらすメリット〜同時廃止と少額管財制度

「少額管財」事件は、もともとは扱う事件数の多い東京地方裁判所が、手続きの簡略化、迅速化を図り導入した制度です。

 

従来の破産手続きには、財産がないことから破産手続開始決定と同時に破産手続きを終了することになる「同時廃止」と、破産管財人を選任する「破産管財」の2つがありました。

 

しかし、「同時廃止」と「破産管財」とでは、その間に大きな隔たりがありました。
通常の「破産管財」事件だと、期間については、長くなると1年以上かかることもあり、費用(予納金)の点でも「最低50万円」はかかりました。

 

「破産管財」は、債務者にとって、とても負担の大きなものになっていました。
少額管財事件は、期間については、長くても2〜3ヶ月以内で終わらせることができ、また予納金についても、少額管財事件では「最低20万円」で済ませることができるようになりました。
「少額管財」における「少額」とは、債務額のことではなく、予納金が少なくて済むということを言います。
「少額管財」制度は、平成11年から始まった新らしい制度ですが、破産管財人の調査などによって、この管財事件が短期間で終わる見込みがある場合には、手続きの迅速化を図り、手間や費用を抑える目的で、この制度が広く使われるようになりました。

 

これまで「破産管財」事件として扱った方がいいにもかかわらず、破産管財人を選任する際には多額の予納金が必要とされることから、「同時廃止」の手続きがなされ、結果として債権者、債務者双方にとって、必ずしもベストとは言えない利用がなされてきました。

 

この制度により、比較的少額の予納金で申し立てができるようになったことから、従来であれば、予納金の準備等の関係から放置されていた事件も、法的手続きで清算することが可能になりました。

 

免責不許可事由のある債務でも免責が得られる可能性がある

「少額管財」手続きがなされることにより、比較的少額の予納金で、破綻状態となったときから速やかに申し立てができることから、資産や情報の劣化を防ぐことにつながり、債務者、債権者、管財人の業務の面からも、メリットの大きいものになっています。

 

「少額管財」事件は、通常の「破産管財」事件と比べて、手続きを早く終わらせることができます。
費用についても、「破産管財」事件に比べれば安く済みますが、「同時廃止」事件よりに比べれば、費用は高くつきます(予納金20万円程度)。
債務者にとっては、「同時廃止」事件としての扱いが可能ならば、当然「同時廃止」の方が、手続きも早く済み、破産管財人の選任も不要なので、費用も安く済み、有利と言えます。

 

債務者にとっては、この「少額管財」が有利な場合は、たとえば破産者がギャンブルなどによって借金を背負った場合などがあります。
債務者にとっては、この「少額管財」のメリットは、「同時廃止」事件で債務の免責が許可されないケースにあります。

 

特に、特に新破産法になり、免責が不許可事由がしっかり設けられ、免責が許可されないケースも多くあります。
債務者にとって、「少額管財」事件にするメリットは、「少額管財」として申し立てることにより、免責不許可事由があっても、免責が得られるようになる場合があることです。
実際に、破産者がギャンブルなどによって借金を背負った場合には、破産者が誠実に更生できる人間かどうかについて、管財人の調査を入れるために、「少額管財」事件にするケースは多いと言えます。

 

ただし、この「少額管財」制度を利用するためには、弁護士を代理人として申し立てることが必要になります。
本人による申立てでは少額管財制度は利用できません。

 

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